終電電車

あーあ。またやっちゃった。

電車が目の前。

間に合ったと思いきや、

「ごめんねー」

目の前の駅員さんにあっけなく断られる。

 

階段を駆け下りると、お父さんの車がまだ待っていてくれたままであった。

 

次の駅まで飛ばして、やっと間に合った。

 

高蔵寺駅発、名古屋駅までの終電電車。

 

目の前に男が二人。

同じ年くらい。

右がスーツで、左がラフ。

PICUについて語っている。

 

その横には、酒臭いメガネをかけた丸いおじさんが座った。

まだかろうじてしっかりしている、同僚であろう

 

「じゃあねーまた。」

「また来週」

 

アディダスの方が駅を降りる。

スーツの方は、おもむろにカバンからイヤホンを取り出し、スマホに目を落とした。

長く伸びた前髪を触る。

 

ライフガードを黒い大きめのリュックからおもむろに取り出すと、

プシュッと軽い音を立てた。

 

”次は鶴舞です”

駅のアナウンスが車内に流れた。

 

駅に着くと、また新しい人の波が入り込んできた。

そうか、今日は金曜日か。

 

"間もなく金山、金山です。"

 

スーツの方が駅を降りた。